母から教わったお金の使い方
母はいつも決まったお店で買います。
お米は決まった農家さんに配達してもらい、魚は近所の魚屋さん、電気は町の電気屋さん、本は近くの本屋さん、洋服も買うお店がおおかた決まっています。外食も、鮨店ならここ、とんかつならここ、という感じで、何十年も同じお店です。ですから、そのお店屋さんはとても他人という気がしません。父が通う30年のお付き合いの小料理屋さんは、もはや親戚レベル。東京でひとり暮らしを始めた娘をその小料理屋に連れて行くと、女将さんから「食べるにこまったらいつでも店にいらっしゃい。食べさせてあげるから。」と言ってもらい、娘はとても心強かったようです。
先日、母がなじみの電気屋さんで電化製品を定価で買っていたので「インターネットで安くなってるよ。」と言ったあげたのですが、「あらそう。でもなんかあったら来てもらわなきゃいけないしね。」と返されました。確かに、なじみの電気屋さんは電気が切れたらすぐに変えにきてくれましたし、うちは米不足の時でさえ困ることはありませんでした。決まったところからいつも届けてもらってるので慌てて買わなくていいのです。
いまでは母のお金の使い方、お付き合いの大切さがよくわかるようになりました。
母はお金で買えないものを買っていました。
心の繋がり、お互いに「ありがたい」「助かるわ」という日々の助け合い。
うまく言葉では表せませんが、うちの娘が新橋で「心強い」ときっと思った、そのような気持ちです。
安心、信頼、そんなものも。
いま、新型肺炎拡大予防対策として、多くの店が営業時間短縮やテイクアウトのみになっています。なじみのお店のテイクアウトはできるたけ買って、また微力ながらSNSで宣伝するようにしています。実店舗休業中のキッチンパラダイスも同じように多くのお客様に応援していただき運営しているのです。何度もご購入くださるお客様の名前を覚えるようになりました。時間がある限り、スタッフが発送する前に私からもお手紙をおつけすることにしています。気にかけていただき、応援いただき、ほんとうにありがとうございます。