琺瑯(ホーロー)容器の良しあしを見極める
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ホーロー容器は何でできている?
琺瑯(ホーロー)容器は何でできているかご存知でしょうか。
冷却性や保温性の高い鉄を素地にして、衛生的で安全性の高い、シリカを主成分とするガラス質の釉薬を高温で焼きつけたものがホーローです。(鉄でなくアルミなど別の金属の場合もあります)ホーローそのものは、紀元前1425年頃に製作されたといわれる世界最古の琺瑯製品がミコノス島で発見されていたり、ツタンカーメンの黄金のマスクの表面に琺瑯加工が施されていることから、その歴史は驚くほど古いといわれています。
ホーロー容器は100円ショップでも売ってますし、5000円くらいの高い商品もあり、いわゆるピンキリです。
良いホーローとそうでないホーロー、どう違う?
ホーローはガラス質のコーティングですが、その素地は鉄。詳しく言うと「ホーロー用鋼板」という鉄の仲間です。
もちろん他にもアルミニウム、ステンレスなどなどが素地の場合もあり、あとは家庭用品ではみかけませんが、金や銅にホーローかけすることも可能です。
ホーロー容器の良しあしを決めるひとつは、その素地のホーロー用鋼板にあります。
よいホーロー用鋼板は耐久性に優れ、ホーローとの密着性が良いのです。
ホーローは直火など熱を加えたりするとコーティングが割れることがあります。直火にかけるとガラス質の伸びと鋼板の伸びが違うからなのです。
特に薄い鋼板の場合は温度が急上昇してしまうと起こりがちです。
安価で薄い鋼板にありがちなのが、スプーンなどでホーローに傷をつけるとすぐに欠けてしまうパターンです。これは鋼板が薄かったり強度が弱いせいで、衝撃で変形し、表面のガラス質の釉薬にひびがはいるためおこります。地震で壁にひびがはいるのと似たようなことです。
最近は、薄くても強度の強いものもあり一概にはいえないようですが、素地そのものの強度がホーロー容器の良しあしに深く関係していることはまちがいありません。
コーティングにもよしあしが?
釉薬であるガラスそのものやコーティングのよしあしはもちろんあります。
きちんと下地材をかけずにコーティングしていると、ホーローははがれやすくなります。丁寧に釉薬をコーティングしているかどうか、まざりけがなく安全なものかどうかにもよるでしょう。
話がそれますが、実はキチパラではプロ仕様の中華鍋を販売しているのですが、ある理由でしばらく入荷ができなくなったことがあります。その理由は、中国からの大量注文!
「えっ?」と耳を疑いますよね。中国の方が中華鍋の本場でしょ。自分の国の製品でなく日本の中華鍋を欲しがっているという。笑)
中国人の友人に言わせると「日本の商品は高品質で安全だからだよ。」と。
同じ鉄といっても、安心できる鉄、とそうでない鉄があるのは、中国人のほうが敏感なのかもしれません。
家庭用ホーローメーカーの中でも「野田琺瑯」は、昭和9年より続くホーロー一筋の老舗ブランドで、その熟練の手仕事で作り上げる道具は、使い勝手といい、耐久性といい、デザイン性といい、群を抜いています。とにかくよく売れていて、安定しています。