フッソ加工フライパンの危険性

フライパンを購入される際「フッソ加工は安全なんですか?」と聞かれることが、この数年大変多くなりました。

学者さんの文献をみたりネットで信頼性の高いものを探したり、メーカーに聞いてみたりと様々な情報を見聞きしていますが、実際はどうなんでしょうか。
日本にフッソ加工があふれている以上、もしもフッソ加工が安全ではなかったとしたら困ったものです。

フッソ加工の性質と危険性

フッソ樹脂加工は、水や油をはじきくっつきにくく、フライパンやホットプレート、炊飯器などで便利に使われています。その利便性の一方で、欧米では早くから多くの問題点があげられています。

多くは、強火の際にでる煙による健康被害、発がん性の問題、環境汚染です。

一般的に、フッソ加工フライパンは、260℃以上で使用すると劣化をし350℃以上で有害なガスがでるとされます。

(ドイツやアメリカでは200℃や230℃という一部報告があり、実際のところ温度は定かでない)

このような実験というのはメーカーがするのか、環境団体がするのかで結果がずいぶん変わってきます。
危ないと言ったり、いや大丈夫と言ったり、レベルが違うにせよ原発被害と時と同様の気がします。

ある機関のフライパン実験

神奈川県県民局がテストした2014年の実験報告がありました。
フッ素樹脂加工したフライパンのテストの抜粋です。

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掲載日:2014年9月8日

フッ素樹脂(テフロン)加工したフライパンを空焚きしてしまったが、有毒ガスが発生するのではないかと心配している、という相談が寄せられています。そこで、フライパンのフッ素塗膜についてどれだけの高温に耐えられるか、またガスが発生するか、発生するとすればどのようなガスなのかを調査しました。

■調査結果

(1)注意表示:以下のような記載がありました。

○ 空焚きは絶対にしないでください。フッ素樹脂塗膜の損傷、取っ手の損傷、本体の変形や溶解等によるやけどや火災の原因となります。なお調理前に予熱する場合は中火で1分以内にしてください。
○ 熱した本体に冷水をかける等急激な温度変化を与えないで下さい。変形の原因となります。
○ 火力を中火以下でご使用になるとフッ素樹脂塗膜が長持ちします。

(2)カセットコンロによりフライパンを加熱すると5分で370℃に達し、フッ素樹脂塗膜は 400℃を超えると熱分解が起こりました。
(3)フライパンの空焚きによって423℃でガスの発生が認められました。ガスの発生は目視では感知できないことが判明しました。
(4)発生したガスは以下のとおりでした。
発生したガスの名称  /ガスの性質 /人への影響の恐れ (出典)
1 テトラフルオロエチレン/ 無色、無臭 呼吸困難 / (CAS:注1)
2 ヘキサフルオロプロペン/ 無色、無臭 めまい、窒息/ (CAS)
3 プロペン/ 無色、微石油臭 眠気、めまい / (CAS)
4 クロロメタン/ 無色、微芳香臭 吐気、頭痛/ (CAS)
5 ブテン/ 無色、無臭 眠気、めまい/ (MSDS:注2)
(注1)CAS:アメリカ化学会(Chemical Abstracts Service)、当該化学物質は番号を付してCASに登録されている。
(注2)MSDS:製品安全データシート(Material Safety Data Sheet)、指定化学物質等の性状及び取扱いに関する情報。

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フッソ樹脂加工は高温使用はリスクが高いことがわかります。
どれくらいの時間で高温になるのかは私もよくテストをしていますが、基材のアルミの薄さとフライパンの大きさ、内容物の有無で大きく違います。

悪条件がそろうと、200℃までなら強火1分とかからないものもあり、IHは特に早いのです。
300℃の高温も2分もあれば到達します。

小さいお子さんがいる家庭や、動物を飼っているご家庭は影響があるかもしれないので、そのリスクを知っておいたほうがいいのは間違いありません。

実際にこの神奈川県民局 くらし県民部 消費生活課もこのように促していました。

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○ フライパンの空焚きをしないように気をつける
○ 水分を飛ばすためなどの空焚きは慎む
○ 空焚き状態となってしまったら、気づいた時点ですぐに火を止め、窓をあけて、空気を入れ替える
○ 体に異常を感じた場合は、医師に相談する

環境汚染についても、知りたい方のために、フッソ加工の助剤とされるPFOAについて、国立医薬品食品衛生研究所が出した報告があるので、こちらをご参考に。

なお、フッソ樹脂加工の発がん性についてですが、環境団体や一部の学者さんとメーカー側との意見もは違っています。これに関しては直接の問題があるかないかはなんとも言えませんが、問題点はありそうです。
立証はむずかしいのかもしれません。