天然生活9月号の「今日も空をみあげて」
料理家であり、まもなく96歳になられる「いのち愛しむ、人生キッチン」の著者、桧山タミ先生のエッセイ「今日も空をみあげて」の執筆を任されていて、今回で4回目の記事です。
先生がこれまで私に聞かせてくださったこと、最近、先生にインタビューしたことなどを、わかりやすく「エッセイ」におとしこむ仕事で、自分のことを書くより何倍も時間を要します。
これまでのインタビュー録音を何度もきいて、慣れない口述をしたり、事実確認で先生にお電話したり。
ほんとはすべて博多弁で話されているのですが、どなたにもわかりやすくするために標準語に訂正しています。ちょっともったいないけれど。先生の博多弁は温かいので。
今回(2022/7/20発売)のエッセイ。写真はいつもの繁延あづささんです。
撮影は2022年の5月。先生がお住まいの大分の山の奥まで行ってきました。手をみているだけでもいろんな感情が湧きあがります。
「作る幸せ、祈る幸せ」
タイトルは、いくつか考えて先生に選んでいただくこともありますが、これは書き終えた後でそのままタイトルをつけました。
全文は現在発売中ですので、ぜひ書店で購入されてお読みいただきたいのですが、その一部だけコピペしますね。
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(略)闘病が長く続いた頃、ミキさんの妹さんからこんなことをお聞きしました。
「姉は、子供たちに何もしてあげられないのが辛いとよく泣きます。早く良くなって自分の手でおにぎりだけでも握ってあげたいというのです。私は姉になんと声をかけていいかわかりませんでした」 ミキさんの気持ちは痛いほどわかりました。
料理って不思議なもので「作る」より「作ってあげたい」という思いが一番なんです。美味しいものを食べさせたい、健やかに過ごしてほしい、そう願う思いは、必ずお子さんたちに届くんですよ。「そう願っていれば、離れていてもミキさんのお子さんらしくいい子に育ちますよ」と妹さんに伝えました。(略)
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このブログやインスタをご覧の方はお察しかと思いますが、このミキさんは私の姉です。
ですので登場人物の妹は私です。笑)
先生に言われたことをそのまま姉に伝えたことまではエッセイには書いてませんが、その時の姉はうんうんとかみしめるように頷いていました。
姉が他界してもう8年が経ち、姉の上の子は大学2年生に、下の子は中学3年生になりました。
私や祖父母に心配かけることもある子供たちのですが、私も母も「祈る」という言葉を信じています。姉が祈る子どもたちは何があっても大丈夫なんだと。
作ってあげることも、祈ることも、どちらも幸せ。
姉がここに居ないような気がしないのは、祈りが私にも伝わっているからだと思います。
雑誌に姉の名前を出して、彼女はどう思っているのでしょうか。
「もう、しかたないわね」かな。「よくやった」か。
あの時みたいに、ただ「うんうん」とうなずいているかもしれませんね。