便利が好きでちょっとハテナ

最近「便利」について取り上げ方が両極端に分かれているのがおもしろい。

新聞には新しい電化製品を「これはすごい!便利!」と紹介する一方で、「便利すぎる社会」という記事が載る。
朝のワイドショーでは時短の便利グッズを紹介した翌日に、「手間をかける」ことの大切さを特集する。

つまり「便利は喜んで受け入れるけど、便利すぎて失うものもあるかもな」とちょっと気づき始めた時代なのです。

それがわかる記事が、いつかの朝日新聞に特集されていました。

「便利すぎる?社会」のアンケート

「いま以上に便利さを享受するのと引き換えに、あなた自身が失うものはある思いますか?」そういう質問。

答えは、

64%が「おおいにある」

「少しはある」が28%。

いまの世の中、便利すぎることに不安を覚えている人が92%もいるということなのです。

とはいえこの解答、新聞の読者が40代以上、50代、60代が多いことも考慮しないといけませんが。

携帯の登場で電話番号を記憶する必要がなくなり、スマホが登場して漢字を書けなくなりました。

クイックルワイパーがでて雑巾がけをしなくなり運動力が減ったのはまだしも、いまや掃除機が勝手に家じゅうを掃除。

料理はレシピが簡単に検索でき、家庭の味はクッ●パッドの簡単料理。

主食のお米は、鍋では炊いたことないのが普通。

もう動かなくてもアレクサ(AIアシスタント)が全部やってくれるおうちもある。

そいういう私も当たり前のように便利ライフを謳歌する一員ではあります。

料理家 桧山タミ先生(94)の日常

ひとり暮らしの桧山タミ先生のご自宅には、昔から電子レンジ、掃除機がありません。レンジの代わりに蒸し器、掃除機のかわりにほうきと雑巾。洗濯機もあまり使わず、普通は手で洗ってしぼって干されます。

桧山先生の元気な秘訣を知りたいと、いろんな雑誌社から取材依頼がありお供することがあります。食べ物がいい、乾布摩擦がいい、考え方が前向きで好奇心が旺盛、こころがきれい。いろんな理由があるのはあるのですが、便利を極力享受してこなかったこと、これは健康の理由のひとつであると思います。

便利すぎない桧山先生の毎日では、とにかく体を動かさなくてはいけません。
目覚ましなしで自然の中で起き、土鍋でご飯をたき、力をいれてすり鉢ですり、雑巾がけをして、手で洗濯をされます。

そして先生は、いま何が必要か、どんな状況か、この世がこれからどうなっていくかを見通せます。

手を動かすことは体と頭を動かすこと。

いやほんとうに、先生には見習いたいことだらけです。