買ったばかりのせいろが壊れる理由


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「使い始めたばかりせいろが壊れました!」

お客様からそう連絡いただくことがたまにあります。

そうですね…..50個販売するとお一人かお二人でしょうか。

もしかするとご連絡はなかったものの壊れている方がいるかもしれませんね。

どんな風に壊れるかというと、ほとんどの症状は

内側に巻いてある木が収縮して歪む わけです。

買ったばかりのせいろが歪む理由は4つ

①使い始めの浸水が足りないか、使う前の浸水が足りない

②最初から長めの蒸し時間に使ってしまった

③急激な乾燥(エアコンの近く、直射日光、長時間干しっぱなし)

④木の個体差(あるいは製造段階の不備)

④の場合は仕方ないですが、ほとんどは①と②のどちらかの原因があるので④がでてくると考えています。つまり①と②がうまくいくと④の可能性は少ないということです。製造段階の不備がある場合は、私のお店では検品段階で外しています。

①浸水はめちゃくちゃ大事

買ったら、まず浸水します。

キッチンパラダイスで販売している白木せいろは15分~30分としています。幅があるのは、18cmなら15分、27cmなら30分という風に変えてほしいからです。水を浸み込ませたいけれど、必要以上の浸水はしないいうことも大切です。浸水しすぎは劣化が早く、ふにゃふにゃになることもあります。(杉せいろや桧せいろはメーカーの説明に従ってください)

一旦乾かしておきます。

使うときは毎回軽く濡らします。

初回からしばらくは多めに濡らす、あるいは水にポチャンと浸けるほうがベターです。まだ木の収縮があるので、急激な乾きを避けるために初回から4~5回はしっかり表面を濡らしましょうとお伝えしています。

その後は、軽く濡らす程度で結構です。

木が慣れてくると濡らさなくても壊れなくなります。(それでも軽く濡らしたほうが安心)

②使い始めは長く蒸さない

木はだんだん収縮が収まりますので、4~5回までは短い蒸し時間にとどめるようにします。慣れたら、御赤飯やおこわ、お芋をまるまる30分蒸してもよくなります。それまでは、使い始めは蒸し時間を10分~15分にとどめておきましょう。(以前は20分としていましたが、その長さでもほんの稀に曲がる例がでています。よく濡らすか軽く濡らすかでも違います)

よく15分?10分?20分?とお客様から聞かれるのですが、決まりはないのです。最初から30分蒸しても大丈夫な方もいますし、たまには10分で壊れる方もいます。気になる方は、たっぷり濡らして15分程度に収めるとまず壊れることはないでしょう。それで5回くらいは様子をみてください。(もちろんここまでやらなくても通常は壊れません)

でも、「すぐにお赤飯を作りたい!」という方は、せめて初回は「空蒸し」(何も入れずに15分程度蒸す)して、よく水に浸してから、途中で霧吹きなどで水を吹き付けたりするのも手かもしれませんね。

③直射日光に注意

木の収縮は干してるときも注意が必要です。
1時間くらいの直射日光や、午前中だけどか、冬の日差し程度なら大丈夫な場合が多いですが、夏の炎天下で干して壊れたという場合はよくあります。また干しっぱなし、エアコンのすぐ下、乾燥機の近くなどで干す場合も収縮が激しいと曲がることがあります。

④木の個体差と不良

とくに①②に注意していれば、ほとんど個体差といっても曲がることがありません。
ただ、水に10分浸けただけで曲がったというのであれば、それは個体差か製造時の接着の甘さだと思います。

私たちはせいろについてこう考えます

せいろは天然素材ですので、すべてが違う商品です。使い方がかっちり決まってる商品と違って、使い方のコツを感覚として覚えておくと困りません。
壊れたりかびたりすることで、原因がなんとなくわかることがほとんどです。

ですが、壊れたり変色したりするとよく「クレーム」となることから、大手のショップがお勧めせず世の中に広がっていきません。

私が毎日使っていてこんなに良い道具でおいしくできるのでもったいないと思います。

ぜひ感覚的に使い方を覚えて使いこなしていただきたいです。