錫引きの銅鍋と錫引き無しの銅鍋の違い

銅鍋の魅力

銅は熱伝導が高く蓄熱性も最高です。即座に素材全体に熱がまわり、そのまま温度をキープして中心まで熱を伝えてくれるので、うま味を逃がさず均一に調理してくれます。

プロの調理人が銅鍋が欠かせないというのはよくわかります。

では銅鍋の内側のコーティングはなぜ必要なのでしょうか。

コーティングには錫引きが一番多いですね。いまはステンレス引きもあります。

なぜコーティングされてきたかは、銅の性質と銅の使い勝手あります。

銅の緑青が猛毒であるから?

銅を放置しておくと緑青といって緑のサビ(?)がでたのをみたことあるでしょう。以前はあの緑青が猛毒だとされていたのです。のちにそれは誤っていたと解明されました。1984年に厚生省がニュースで発表したのです。
これは昭和56年から3年にかけて国立衛生研究所で行われた研究で明らかになったもので、毒性はそれほどでもないとわかりました。ですが、なぜか「家庭用の銅鍋はコーティングしないといけない」という法律が継続されたままなのです。

銅の性質上、錫引き、ステンレス引きはしかたない?

ただし、毒はないとしても、酢や塩分がついたり、調理後にそのまま放置すると、銅そのものが変色したり銅成分の影響で素材が黒っぽくなることがあります。

私もコーティングのない鍋でおでんなどをしたことがありますが、だし汁が黒くなったり、銅鍋にはくっきり出汁の線がつくほどでした。

なので、煮物やアクのあるものの下ごしらえなどはとくに、錫引き銅鍋を使ったほうが、長い時間煮たり多少いれっぱなしにできるということになります。

毒はなくて、変色だけならいいやと思うかもしれませんが、過去には丸1日スポーツ飲料を銅ボトルに入れていた男の子がその飲み物を飲んで「銅の過剰摂取」による吐き気で病院にかかったという例もあります。とはいえ、大きな問題ではないようですしおでんを出すお店もありますが、実は溶け出し過ぎはお気をつけてということのようです。

何もコーティングしてない銅鍋は何に使う?

 

何もコーティングしていないのは、小豆を煮るときのあたり鍋やジャム鍋、シロップ鍋、揚げ鍋などです。卵用のミキシングボウルもコーティングしてないですね。

これは銅イオンと結合して色鮮やかさを保ったり、卵をきめ細やかに攪拌したり、小豆も色よくできあがります。

錫だと高温に弱いのでシロップのは向きませんので、シロップ鍋もほとんどコーティングはありません。

揚げ鍋も油が高温になる可能性がありますので、コーティングがないものがほとんどです(たまには違うのもあるけれど)