「たまたま」の考察
「たまたま」を考える
この時期は異動が多い時期。中にはお偉くなられる方もいるでしょう。
先日、お付き合い先の方に、昇進のお祝いの言葉を伝えると、
「いえ、たまたまです」とのお返事。
いやいや、どう考えても「たまたま」じゃないでしょう。たまたま=偶然?そんなわけないでしょう。
ほかにもいろいろ例を考えてみると、
「アナウンサー試験に合格したらしいね」→「たまたまです」これは使える
「素敵な彼女だね。どこで出会ったの?」→「いえ、たまたまです」 ん?これは変かな。
「(ランナーに)今日のタイムはすこぶるよかったね」→「たまたまです」 ありあり。
日本人の「たまたま」のニュアンス
本人から「たまたまです」と返事があると
・ほんの偶然であって、私の実力ってわけじゃない
・自分はそうなるとは思っていなかったんですが、ありがたいことです
・まわりのおかげです
・ほんとタイミングがよかっただけです
そんなニュアンスがこの言葉に含まれる。ような気がしますよね。
誰に褒められるかで微妙に印象が変わる
とはいえ、この「たまたま」、すべての方への返事として有効ではない気がします。
例えば、直属の上司に「昇進おめでとう」と言われて「たまたまです」と答えたらおかしい。その場合は「〇〇部長のおかげです」の答えがふさわしいでしょう。「たまたま」なったのではなく働きかけた誰かがいるわけですから。
逆に部下に「おめでとう」と言われたら「たまたま」はない。彼を押し上げてくれえる部下がいたから「みんなのおかげ」なんでしょうね。
アナウンサー試験で合格先の先輩に「おめでとう」と言われても「たまたま」でなく「先輩のご指導のおかげ」となる。
うちの子だけ大学に合格したら「たまたまよ」とほかの親御さんにはいったほうがいい。
「あやさん、20年お店続けるなんてすごいね」の答えに「たまたま」はない。すべてまわりのおかげ。
相手によって「たまたま」を使い分けたほうがいいにしても、この言葉は謙虚さがうかがえ、日本人らしい控えめな言葉ですよね。
嫌味な「たまたま」
褒められた人が返すことばの「たまたま」は謙虚だけれど、嫌味な使い方にもなります。
「あの人はたまたま昇進したんだよ」「あの人はたまたま受かっただけ」「あの人のホームランはたまたまよ」
そんな他人に使うととたんにイヤな言葉に早変わり。実力やないよ、運よ、という嫌味。
あんまりそんな使い方する人はいないでしょうが。自分しか使っちゃいけない言葉なんだなぁと。
リンカーン大統領の「たまたま」
アメリカ大統領のリンカーンが、友人がホワイトハイスを訪ねた時、友人から「こんな大きなとこに住んですごいな」といわれたらしい。リンカーンは、
「いまはたまたまこんな大きな家に住んでいるけど、今度は君の子供がここに住むかもしれないよ」
と返したそうです。
謙虚さは感じられないけれど、アメリカ人らしい「たまたま」の使い方ですよね。
ラッキーを「たまたま」と訳しただけですが。
そんなわけで、日本語っておもしろいなって思った朝でした。たまたま浮かんだので書いてみました(笑)
くだらないブログすいません。(-_-;) 明日はすてきなおしらせです!