すし桶の選び方

すし桶(飯台)を持つ理由

一昔前に比べ、すし桶をもつ家庭が少なくなりました。わたしたちが子供のころは当たり前にどこの家にもあったのですが。

いまの30代40代の方にお聞きすると、都心部だと家に飯台があるのは2割くらいでしょうか。おうちで寿司を作らなくなったり、作ってもガラスやステンレスのボウルで代用する方が増えたからでしょう。たしかに場所とりますからね。

木のすし桶は水分を調節してくれますし、酢飯を急激に冷ますことに一役かってくれ、とても美味しくつやつやにできます。またガラスやステンレスより酢飯がいたみにくく長持ちします。

仕事で遅くなるときの作り置きは、酢飯がいちばん。気温が上がってくるとおにぎりでは悪くなりそうで心配ですが、木のすし桶なら朝作って夕方まで美味しくて安心です。

すし桶にふさわしい素材は

すし桶の素材には、檜や杉、モミ材なども使われますが、一般的には「さわら」が良いとされます。木曾地方で産出されたさわらが有名で、最も多く生産されています。木曽さわらは木目が細かく、柔らかく、収縮が少なく、赤みがあって美しい。
なんといっても耐久性と耐酸性にすぐれています。

適度な油分をふくみ、湿気や酸にも強く、檜などに比べると木特有に臭いが強くないのが特徴です。酢飯に木の特有の匂いが移りにくいのです。しかも軽いのですし桶には最適と言われます。

すし桶の木は柾目(まさめ)

柾目とは木を中心を通って縦断したときの面にみられる、樹心に平行してまっすぐな木目のこと。綺麗な柾目を選べば、水分の調節に優れ、壊れにくくなります。反対に波型や山型の木目は、水分を吸収しにくく長期保存の酒などの樽に向いています。
すし桶はきれいな柾目のものがいいでしょう。良いものはたいていきちんと選別されています。

タガは銅?

タガはすし桶の円形を外側から固定してるものをいいます。銅や樹脂、ステンレスの場合もあります。ほとんどの場合、安価なすし桶は収縮するので樹脂製で止められていますが、これは樹脂なら安いことと、伸び縮みするからです。長期的に使うと割れたり切れたりします。銅は濡れっぱなしにすると緑青がでたりしますが、長期的にしっかりとすし桶を締めてくれ、すし桶そのものが長持ちします。一生ものには銅がよいでしょう。
ただ、銅の取り扱いが面倒な方にはステンレスなら丈夫で安心と言えます。ただ木にステンレスの趣はあまりステキではないような気がしますが。これからは銅が高価なのでとってかわるかもしれません。

コーティング無しでなければ

すし桶は水分を調節する役目なので、加工なしの木材を使うのですが、最近の安価なものには、かびないように、お手入れが簡単なようにと、ウレタンやシリコンでコーティングしたものが売られています。出来上がったものを入れる器としてならいいのですが、酢飯を作るなら加工のないものを。

サイズは大き目か小さめか

これまでのご家庭では、とても大きいサイズのすし桶が主流でした。家族が多かったことと、酢飯をうちわであおぐとき冷ましやすいからです。大きいすし桶は確かに効率がいいのですが、おひつ代わりにしたり、おすし以外のまぜごはんに活用したりとと普段使いするなら、応用が利いて収納しやすい2.5合や3合サイズくらいもお買いになると便利でしょう。

いいものと悪いものがある?

一概にはいえませんが、重厚感のあるものは壊れにくいでしょう。側板が厚いと収縮は少なくなります。あとは木の性質。きちんと選ばれているかどうか、また日本製と中国製では大きな違いがあります。