博多のお正月の慣習

桧山タミ先生(98)からお聞きした博多のお正月の慣習を書き残しておきます。

 

博多雑煮のホント

博多雑煮といえば、澄んだ鰹や昆布、アゴなどでとった出汁に薄味をつけ、丸もち、かつお菜、椎茸、里芋、敷大根をいれます。かまぼこや人参をいれるご家庭もあります。

博多では雑煮に入れる魚はブリが一般的ですが、実は慣習としては2タイプあるらしいです。

福岡の中心地は博多と福岡の2つの区域に分かれていました。

中洲の川を挟んで現在の博多駅側が「博多」。山笠でもしられる地域で商人の町でした。
一方で天神の側が「福岡」。福岡藩士が住んでいた町でした。

この2つの地域では雑煮の魚に違いがありました。

福岡藩士側は、縁起のいい「出世魚」のブリに前もって塩をしておき、雑煮にいれるのに対し、

博多商人は大晦日まで売りつくしで忙しいので、大みそかまで供えておいた鯛を使っていたのです。
中には、出汁が美味しいので正月は生臭いものは食べないという博多商人もいたそうけど。

いまはほとんどの福岡民はブリだと思ったいたのですが、桧山塾でお会いした生徒さんが「うちは鯛ですよ」と珍しいことをいわれていたので、???でしたが、商人のご家庭から代々受け継がれていたのでしょうね。

博多雑煮の七福神

いまの博多雑煮の出汁は、あご、昆布が一般的。あとは鰹節や干し椎茸くらいは足す家庭があると思うんですが、実は、お祝いの七福神と呼ばれる7つの材料を使っていたと言われています。

アゴ(トビウオ)、ハゼ、穴子、スルメ、昆布、椎茸、鰹節です。

諸説あって、穴子やスルメはほかの材料になることもあるにせよ、まぁこんな感じで7種類を使っていたそう。

出汁に深みがあり美味しいので、具は少しだったとか。

がめ煮は正月には食べない?

博多では「がめ煮」という鶏肉と根菜などの煮物が有名です。ほかの地域では筑前煮ともいいますね。

私の実家でもお正月にはかかせない料理なのですが、実は博多では、元旦だけは「がめ煮」でなく「煮しめ」が出されていたのです。

煮しめは野菜をひとつひとつに煮る煮物で、がめ煮はまとめて煮る。とくに博多商人のならわしだったようです。

博多の黒豆は芯がある

黒豆を作る際は、いかにしわがよらないように作るかが基本になっていますが、博多の習わしはちょっと違っていて、「黒豆はしわがあっても芯がある」のが主流。
年をとってしわがよっても、芯がしっかりしているという表れだったようです。

その土地土地で受け継がれた習わし、大切にしたいものですね。