鉄の油ならしがうまくいくには

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鉄のフライパンがいまいちうまくいってない

説明書をお渡しして販売しているものの、その手順を踏んでもうまくいかないという方がたまにおられます。

鉄の使い方はわかっているものの、なぜくっつくのかわからないという方に、ちょっと気を付ける点をご紹介しておきましょう。

コーティングを完全に取り除けている?

お店で並んでいる商品が錆びないように、メーカーさんは錆止めをコーティングしていることが多いです。
近頃は「窒化加工」で鉄に酸化被膜を施して錆びなくしているフライパンも増えましたけど。(窒化加工については後日)

シリコン吹き付けやクリア塗装は、高温で何十分も空焚きして焼き切らないと落とせないので、これに苦労される方が多いのです。取り切らないと油がなじみにくくなります。卓上コンロなどで根気よく取ってください。だいたい、高温にすると最初に煙がでてきて、塗装が焼き切れると煙は出なくなります。

使い始めたもののくっつく場合は、この空焚きからはじめてみるのもいいかもです

油なじみが足りてない?

油ならしは、フライパンの温度を上げて多めの油を入れて、そのまま3分~10分くらいなじませたり、またはくず野菜を炒めたりしてなじませる方法です。

ここで、ただ温めるだけではなじみづらい場合があります。さらしやキッチンペーパーをつかって油を鍋肌にこすりつけたり、野菜を炒めながらこすりつけるのが効果があります。

油が定着するには、油をなじませたまま一度温度を下げるとより効果的です。急ぎの場合は濡れ布巾の上におくと良いです。

高温にする→ 油を入れる→ よくこすりつけなじませる→ 一度温度を下げる

よほどなじみにくいフライパンでもこれを繰り返すとほとんどよくなじんでいきます。

油ならしの油は何?

油ならしの油は基本的には何でもよいのですが、コーティングするのに最適なのは乾性油です。乾きやすいので、温度が下がるとしっかりコーティングしてくれます。
亜麻仁油(ちょっと高い)グレープシードオイル、べに花油。半乾性油でもOKです。ごま油、大豆油、菜種、ひまわり油、こめ油など。
オリーブオイルは不乾性油なので、なじみにくくはあります。とはいえ、世界的にオリーブオイルでなじませているのでしょうが、たしかにやってみると、ベトベトしていて、最後に塗る油としては不向きなのです。

高温過ぎない?

フライパンは高温で油を入れますが、なじんだあとは少し弱火にして食材をいれたほうがうまくいきます。
濡れ布巾を用意するとよいと思います。調理法によっては高温のまま焼き付けることもあるので臨機応変に。

焼いてる途中で具材をすぐ動かしてない?

鉄のフライパンで焼くときは、ある程度表面が焼けたら、気持ちよく具材が鍋肌から離れてくれます。
途中で動かさないこと。焦げないためには、やはり高温過ぎないほうがベター。
ただし、中華鍋など高温で炒めるときはまた別です。

酸性調味料やアクのある食材を炒めてない?

油なじみが完全ではないときに、ケチャップ炒めや黒酢炒めをするとせっかくついた被膜が剥がれて地金がみえてくることがあります。
筍やごぼうなどのアクのある素材の時もそんなことがあります。
油がなじんでないときは注意。またはまだ少し多めの油を使って炒めたほうがいいかもです。

洗いすぎてない?

フライパンが温かいうちに水を入れれば、あまり丁寧に洗わなくてもよく汚れが落ちます。洗剤なしで十分です。

洗剤を使い続けると被膜がつきにくくなるので、汚れはとっても被膜はとらない、という気持ちで洗うといいです。
もちろんどうしても洗剤で洗いたいときは洗ってもOK。また次回までに表面に油膜をつけたらいいと思います。

几帳面すぎる方の方がフライパンがうまくいかないのは、洗いすぎという場合もあります。

以上です。

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