正しい海苔のあぶり方

「そろそろ新海苔の季節ね」というと、「へ?そうなの?」と言われたりします。
そうなんです。まもなく12月初旬頃から今年の新海苔がお店にでまわります。

新海苔とは、冬の寒い時期に「一番摘み」などと呼ばれる海苔のこと。香りや旨みが最上級です。ご飯も新米、海苔も新海苔の時期は12月までしかありませんので、ぜひ楽しみたいですね。

それにしても海苔を炙る人は少なくなりましたね。焼きのりはあぶらなくてもいいとは言われますが、軽くあぶるとやっぱり風味がいい。私が仕事でご一緒した何人かの海苔やさんや料理家の桧山先生からお聞きした「海苔」の話をまとめます。

焼き海苔とは?

海苔は、海で収穫された後、四角のカタチにすかれて乾燥させられます。これが「乾海苔」「干し海苔」です。少し水分を保持した状態でやや赤紫がかったものが多いようです。その後、大きな電気オーブンで焼かれます。これが「焼き海苔」です。これに味がついたものが「味のり」です。おにぎり用や、ひとつひとつパックにされたものは味海苔が多いです。韓国のりは味海苔ですよね。

私が子供の頃は、焼き海苔でなく乾海苔をコンロで炙っていたように思いますが、最近はほとんど焼き海苔なのですね。そのほうがご家庭での保存状態がよいのでこれが主流になっています。焼き海苔はすでに十分焼いているので湿気ていなければ焼かなくてもいいと海苔業者さんは言います。もちろん焼いたほうが、よりパリッとして海苔の風味を楽しめます。乾海苔のほうが焼いたときの磯の香りは強いですね。

「乾海苔や干し海苔をガスコンロで焼くのは意外と難しいんですよ。」と海苔やさん。「オーブンを温めてから火をとめて30秒くらいで焼いたりしたほうがまんべんなく焼けますよね。」とコツも聞きました。

食べる前にさっと炙る、炙り方はこう。海苔には表と裏があります。

海苔の炙りかた

海苔を炙る時は表と表を重ねて2枚重ねにしてください。2枚の裏(ザラザラ)だけを炙るのです。こう炙るのが最も香りが残るとと、業者さんも先生も、海苔やさんもみなさん言われます。

炙り方は、コンロの火は強火で。そして必ず遠火です。焼き海苔の場合はパパッとでもいいですが、干し海苔の時はこの強火の遠火で、割と長く焼きます。場所を変えて全体的に色が変わるように焼いてください。
コンロの上に網目の細かい焼き網をのせるほうが火が広がってうまくいきます。

辻和金網の焼き網で受け皿つけて焼くと、全体に焼けるので便利です。おもちの方はやってみてください。

海苔で巻いた爆弾おにぎり

ある夕方、近くのバス停のベンチで高校生の女の子がバクダンおにぎり(大きいおにぎりを大きな海苔でくるんだもの)を食べていました。片手に単語帳。きっと帰宅せずに塾に行くのでしょう。大きな海苔でぐるっと包んでいるので、手が汚れないのでいいですね。おにぎりの中には何種類ものおかずが入っているようでした。

コンビニで買えば簡単ですが、お母さんの愛情が伝わってきて温かい気持ちになりました。
コンビニのおにぎりなら「小腹すいて買い食いかぁ」と少しお行儀悪く感じてしまうのに、母のばくだんおにぎりならホットな気持ちになるという…不思議なものです。