ステンレス鍋の見分け方

●インスタグラムでは台所道具について毎日発信。毎週月曜夜9時に台所道具使い方などを生配信。こちら

おなじステンレス鍋でも、よく火が通るものとそういでないもの、あるいは焦げやすいもの、汚れがつきやすいものとそうでないものがあります。
これは高い鍋を買っても同じことがおこるんですよね。なぜでしょう。

ステンレス鍋の種類を知る

ステンレス鍋といってもいろんな種類があります。
ステンレス1枚だけでできているのが「単層鍋」、ステンレスとステンレスの間に何かほかの素材を挟んで多層にしているのを「多層鍋」と簡単にいっています。

ステンレスの単層鍋にはこんな商品があります。

タケ〇シ ミルクパン 材質:18-8ステンレス
パール〇属 セイフル セイフル片手鍋 材質:18-8ステンレス
シェフ〇ラ IH対応片手鍋 材質:ステンレス
柳 〇理 片手鍋 つやけし 本体:18-8ステンレス

材質のところに、「ステンレス」しか表記されていません。また価格も安い場合はステンレスの厚みが薄いものがほとんどです。薄くて軽いステンレス鍋はほとんど単層鍋です。

ステンレス多層鍋にも2種類ある

多層鍋の場合でも、底だけ多層、全面多層の2種類があります。

例えば底だけ多層の商品には、

落〇勉 ステンレス鍋セット 本体/18-8ステンレス、底部/アルミニウム・18-0ステンレス
クリス〇ル 本体:18/10ステンレス(鍋底はステンレス・アルミ・ステンレス3層構造)。

「底部」と丁寧に書いてあるので親切ですが、全体が多層なのか底なのかが表記されていないものが多いのです。

全面多層のステンレスン鍋には、ジオプロクト、ジオプロダクトなどがあります。

多層の3層鍋というのは、ほとんどの場合はステンレスとステンレスの間にアルミニウムが挟んであります。ほかにも5層、7層、9層、11層と本当にたくさんの層がある鍋もありますよね。これにはそれぞれ意味があるのです。

ここで答えから言うと、ステンレスの全面多層鍋なら、圧倒的に汚れにくく焦げにくいのです。

なぜステンレスの全面多層鍋は汚れにくいのか

ステンレスは熱伝導が遅く、アルミは熱伝導が早い素材です。
ステンレスだけで醤油出汁を温め、突然鍋を揺らすととたんにパチパチいって側面の出汁が鍋の側面にとびちり焦げたという経験がある方もいるでしょう。
あれはまさに、出汁がはいっている部分の温度とはっていない側面の温度が違うためにおこる現象です。ステンレスだけでは熱が伝わりづらいのです。

この性質を生かしてアルミを挟む多層鍋ができました。内部に挟んだアルミがステンレスより先に鍋全体を同じ温度を調整してくれるので、液体が飛び散って鍋を汚す現象を防ぐことになるのです。

つまり全面多層のステンレス鍋は、単層に比べて非常に汚れにくいのです。

全面多層鍋は汚れも取れやすいか(実験)

醤油で比べてみます。

沸騰した醤油で、上の写真のようにステンレスの単層鍋は汚れはじめました。ジオ・プロダクトは泡が付き始めています。
これを1分ほど沸騰させて、スポンジで洗います。

単層鍋は、スポンジで数回洗っただけでは取れません。一方、ジオ・プロダクトのような全面多層の鍋はこすらずともすぐ落ちます。

底面だけの多層鍋はだめ?

ここまで読むと単層鍋が悪いようですが、単層鍋にもいいところはあります。軽くて扱うのは楽です。お湯を沸かす、ゆでるにはあたたまる時間も早く、汚れはしません。セイロ鍋には単層鍋がおおいです。早くわくので。

ではすべて全面多層を買えばいいじゃないということになりそうですが、そうともいえません。
底だけ多層鍋(側面は単層)はわりとよく売れているようです。底が分厚いので熱を蓄熱するには有効な鍋なのです。煮物にとても向いています。それに蓋をしてじっくり煮込むと、蒸気で全体があたたまります。

それに、底がとても分厚い分、側面まで多層にすると重くなりすぎて家庭用としては売れないでしょう。
底面多層の鍋はほとんどIHでも使えます。底ががっちりすることでIHの温度変化による変形を防げます。

底面多層は、煮物のエキスパートであり、全面多層は万能な鍋といってもいいでしょう。

万能なステンレス鍋はどれか

私のオススメの鍋の全面多層鍋のは「ジオ・プロダクト」。
底厚のステンレス鍋に比べれば軽く、価格も高くありません。汚れにくく掃除しやすいので、茹でても煮ても、揚物でも、出汁の温めでもなんにでも使えるというわけなのです。15年保証とうたってますが、一生ものです。

全面多層の鍋にはジオ以外にもビタクラフトもあります。これも5年ほど使っていますが、こちらも全面多層のとても良い鍋です。

■キッチンパラダイスでは、アルミニウムだけの鍋は取り扱っておりません。アルミの行平鍋などは熱伝導が早く、ステンレスのように汚れはしませんが。理由は酸や塩分に弱いこと、保温性が少なく煮物が向かないこと、健康面の疑問からです。