すり鉢が必要なワケ


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相変わらず、時短道具や調理家電などが人気ではありますが、一方でホンモノのよい道具を丁寧に使って、より豊かな食卓を満喫したいという方がかなり増えてきました。道具の使い方に関する問い合わせも多く、鉄のフライパン、せいろ、おひつ、木のザル、すり鉢など「基本的な使い方を教えてほしい」という質問がほとんどです。

特に、若い方もすり鉢の良さを見直してくださっているのがうれしい限りです。

そこで、すり鉢って何がいいのか、まとめてみたいと思います。

すりつぶしながら混ぜるから風味が違う

よくすり鉢とフードプロセッサーとの違いをきかれますが、プロセッサーは「素材を切る」道具であり、すり鉢は「素材をすりつぶしながら混ぜる」道具。似て非なるものです。

すりつぶすと、風味が豊かになり、少なくてもまんべんなく混ぜ合わせできます。また、口当たりもまろやかです。

ゴマを摺ると香りがたってますます美味しくなります。

みそを擦ると口当たりなめらかになり、みそならではの香りも存分に楽しめます。

味噌をする

例えば、味噌汁をちょっとひと手間。すり鉢で豆味噌を摺ってから少しづつだし汁を加えて鍋に戻しいれます。少ない味噌でもとても香り豊かで驚きます。

冷や汁を作るときの手順は、アジなどの魚をすりつぶし、そこに味噌を入れてよく擦ります。
それを少し焼いて水や出汁をまぜるのですが、すり鉢ですればするほど味噌もアジも風味がよくなります。
すりつぶしたものを焼く時には、バーナーで焼いたり、すり鉢を逆さにして焼いたり、あるいは一旦取り出してオーブンで焼くなどいくつかの方法がありますが、やはり焼いてからするとさらに香りがたちます。

山芋をおろす

にんにくやしょうがもおろせます。山芋をすってだしを加えてとろろにして、ご飯にかけてとろろごはん。
山芋にだしを多めに入れて味付けし、薬味を入れて、お蕎麦や素麺の漬けだれにもできます。

豆腐、芋、豆、アボカドなどをつぶす

コロッケやがんもどきなどの種を作ったり、アボガドや豆からディップを作ったりします。
粘りがあり、なめらかで舌触り良く仕上がります。にんにくやショウガをつぶしてソースもできるので簡単です。

ナッツをたたく

ミルがなくてもナッツを簡単にたたいてつぶせます。サラダに混ぜるナッツ、バジルソースの松の実など、イタリアンやフレンチなどにも活躍します。

器にも

置いているだけで器になるすり鉢もあります。サラダやソースなどそのままテーブルへ。

ごまをする白和えや胡麻和え以外にも、がんもどき、柚子胡椒にもすり鉢が必要。また、いりこを摺って味噌を混ぜてすり合わせて作る味噌玉、胡麻を摺って調味料をいれたゴマダレや冷やし中華にもよいですね。

 

すり鉢の擦り方

すり鉢が滑らないようにぬれぶきんを下に敷くとよいです。シリコンが底についている場合は不要です。
利き手ですりこ木の真ん中あたりを持ち、反対の手はすりこ木の上部を軽くもちます。その反対の手のほうを軸にして、利き手でくるくる回して摺る感じです。どちらも軽くもつほうがいいでしょう。

しゃもじなどがあると、摺ったものを集めたりできますね。

すり鉢を子供たちに

子どもの頃の食卓の記憶はあとあとになってもよく覚えています。おうちで作る料理、台所の音や匂い、それが知らないうちに成長や情緒を育てるのに関係しているのだという専門家もいます。

小さいお子さんがいらっしゃるご家庭は、すり鉢をお子さんと一緒にお使いいただきそんな記憶を受け継いでいただきたいなぁと思います。

子供たちはすり鉢作業はとっても好きですよ。

すり鉢はスポンジで洗わない?

すり鉢を洗うときは、タワシをお使いください。ほとんどがタワシだけでOKですが、汚れがつまって取れにくい時は、歯ブラシでや、爪楊枝をゴムで束ねて汚れ落としにするとスルスルと取れます。